バッド・ボーイの歌姫として活躍し、その後レーベルを移ってもフェイスはフェイス。『オールド・フェイスのニュー・チャレンジ』は続く!!

ブラックミュージック 歌手

Faith Evans, フェイス・エヴァンス

『オールド・フェイスのニュー・チャレンジ』は今日も続く!!

who is Faith Evansフェイス・エヴァンスはどんなアーティスト?

フェイス・エヴァンス (Faith Evans) はニューアーク (ニュージャージー州) 出身のイタリア/アフリカ系R&Bシンガー。 父親はイタリア系、母親はアフリカ系だが、フェイスが生まれる前に両親は離婚しており、当時プロの歌手だった母親は フェイスを親戚に預けて仕事を続けた。結局フェイスは叔父・叔母・祖父の家族の中で育った。

早くから音楽の才能を現し、4歳の時には教会でフィフス・デイメンションの『Let The Sunshine In』を歌った。
厳格なキリスト教徒の家庭だった為、『教会と学校以外は外出禁止』『世俗音楽禁止』だった。ゴスペルを聴くうちに クラーク・シスターズに憧れるようになり、ゴスペル・グループを組んだ事もあった。また、伝統的だが古いスタイルに 留まらず、現代的なスタイルを取り入れようと自分で曲を書き、複雑なコーラス・アレンジも行うようになった。 フェイスの音楽で他のヒップホップ・ソウル歌手と違う点は緻密なコーラスだが、これは10代からソングライトやコーラスのアレンジを 続けてきた為だと言える。

高校は地元の高校に進み、ジャズバンドで歌ったりハイ・ファイヴのレコーディングに参加した。成績も優秀で、フォーダム大学には 学費全額免除の特待生として入学した。プロデューサーのキヤマ・グリフィン (Kiyamma Griffin)* 1と 知り合いになり、幾つかのアーティストのセッションに参加するが、キヤマの子供を妊娠した為、学業は1年でストップする事になった。

フェイスはシングル・マザーとして子供 (娘: チャイナ) を育てる事に決め、チャンスを求めてロサンゼルスに引越した。 ロサンゼルスではアル・B・シュアに能力を認められ、セッション・ヴォーカリストとして働き始めた。アトランタでアッシャーの 1stアルバム『Usher』を制作していた時、バッドボーイの女性シンガーを探していたP・ディディ(パフィ)* 2の目に 留まり、バッドボーイとの契約が決まった。

バッドボーイではメアリー・J・ブライジの2ndアルバム『My Life』のソングライトを手掛けた後、1995年に『Faith』でデビューした。 アルバムは全米で100万枚以上売れた。バッドボーイらしいネタを使ったヒップホップ・ソウルで、'90年代R&Bらしさが詰まっているが、 フェイスが単なる『第二のメアリー』に留まらず、オリジナリティを確立できた原因にはメアリーに無い複雑なコーラス・アレンジと、 パフィが『霧のような声』と評した特徴ある声が挙げられる。もっとも後になってフェイスはこの頃の声を『喉に卵が詰まったような声』 と振り返っている。

プライベートでは1994年に同じバッドボーイ所属のラッパー、ノトーリアスB.I.G (ビギー)と結婚している。ビギーのフォトセッションで 初めて出会ってからわずか数週間のスピード婚だった。結婚生活は始めは順調で、1996年には子供 (息子:クリストファー・ウォレスJr.) を 出産している。しかし、ビギーの浮気(リル・キム, チャーリー・ボルティモア)で次第に夫婦間は不仲になり始め、夫婦喧嘩も増えた。 最終的に結婚生活は、ビギーがヒップホップ東西抗争に巻き込まれて'97年にロサンゼルスで銃撃されて死亡して終わった。

ビギー死亡後、バッドボーイのファミリーとして発表したビギー追悼曲『I'll Be Missing You』はグラミー賞で『最優秀ラップ・パフォーマンス (グループ)』を受賞し、フェイスに初のグラミー賞をもたらした。
その後、'98年に2ndアルバム『Keep The Faith』を発表した。バッドボーイらしい大ネタ* 3を使った曲が 収録され、シングル『All Night Long』『Love Like This』がヒットし、アルバムも再び100万枚売れた。この頃のフェイスはミッシー ・エリオットの紹介で知り合ったトッド・ラソウと付き合い、2人は結婚している。同じ年に子供(息子: ジョシュア)も生まれている。

2001年の3作目『Faithfully』にはパフィは以前より関わらなかったが、夫もトッドが制作過程をサポートして2人で完成させた。 この頃のパフィはジェニファー・ロペスと付き合っていて、銃の不法所持疑惑への対応や、音楽以外のビジネスに力を注いでいた 時期だった。アルバムはゴールドディスク認定 (50万枚) を得たが、目立ったヒット・シングルは出なかった。
レーベルからのサポートが不十分だと感じていたフェイスはバッドポーイを離れる事にしたが、2003年にアトランタ郊外で 麻薬所持で夫と一緒に捕まってしまった事も響き、次のアルバムは2005年まで待つことになった。

2005年にはキャピタルから4作目『The First Lady』を発売した。レーベルのプロモーションも手伝い、アルバムチャート2位と 自己最高の順位を記録した。アメリカ国内で50万枚、イギリスでも10万枚売れた (これはアメリカのR&B歌手にとって大きな数字)。 同じ年には初のクリスマス・アルバム『A Faithful Christmas』を発表し、『これまでの人脈を使ってこれまで一緒に制作したかった人達 や、ずっと一緒にやりたかった人達と作ったアルバム』の念願を、2枚のアルバムで念願を果たした。

特に『First Lady』では、ネプチューンズと組んだこれまでの路線の "Goin' Out" を1曲目に収録する一方、フィリー〜ネオ・ソウル系 のアーティストとの制作が多かったアイヴァン・バリアス & カーヴィン・ハギンスと作った "Again" をシングル・カットするなど、 新たな面も見せている。結果としてフェイスの歌 (特にコーラスなどのヴォーカル・アレンジ) の良さがより伝わるようになった。

キャピタルからの新作も期待され、実際にレーベルも望んでいたが、フェイスが2007年にトッドとの第二子を出産して十分に音楽制作 できなかった事もあり、新作制作は滞っていた。(その代わりなのか、2006年にはリミックス・未発表曲集『Remixed, Unreleased and Featured』 がリリースされている。) その間にスタッフが入れ替わった事もあり、フェイスとしては環境が変わったため これ以上の在籍は望まなくなっていた。契約解除はスムーズには進まなかったが、最終的にキャピタルとの契約は終了し、 フェイスはE1レコード* 4と新たな契約をした。

E1との契約は、フェイス&トッドの制作会社を通じての契約で、音楽以外にもテレビ番組などの制作活動も含まれている。
実際、2008年には自伝『Keep The Faith』* 5を発売し、ベストセラーになった。ビギーとの結婚生活や リル・キムとの争いを中心に赤裸々な内容が話題になり、2009年のアフリカ系アメリカ人文学賞では伝記部門を受賞している。
2012年にはニッキ・ギルバート (元ブラウンストーン) と主導したリアリティ番組『R&B Divas』がTV Oneで放映された。 2011年の制作発表時から話題になっていて、フェイス, ニッキ, シリーナ・ジョンソン, キキ・ワイアット, モニファの出演者による 赤裸々な内容 (モニファのカミングアウト) は話題を呼び、続編も決定している。

フェイスの音楽は一貫してR&Bで、自身でも『わたしは常に自分らしい音楽をやっていきたいと思ってるの。ファンが期待するような 音楽をね。つまり、誰か他のアーティストのマネみたいなもの…自分らしくない曲を作る気は毛頭ないのよ。今まで作ってきた曲を ファンは気に入ってくれてるし、わたしのアレンジの仕方も、わたしのスタイルも気に入ってくれている。だからそれを毎回作り続ける だけなの。アルバムを作るごとに、そういったものを更に強力なものにしようとしているの。だから "オールド・フェイスのニュー・ チャレンジ" だと言えるわね』と説明している。

【参考文献】
・bmr 2010年11月号 - Faith Evans (荘 治虫氏)
・『Faith』 - ライナーノート(2006年 ワーナーより再発盤: 速藤 年正氏)
・Wikipedia (英) - Faith Evans
・Wikipedia (日) - フェイス・エヴァンス



Faith EvansのアルバムCD・動画フェイス・エヴァンスの作品

Faith 1995年 Keep The Faith 1998年 Faithfully 2001年 The First Lady 2005年
Faith Keep The Faith Faithfully The First Lady
まさに'90年代のR&B! 踊れるUPから
バラードまで
ネプチューンズ曲
が刺激的
オーソドックスな
R&Bも増えた
A Faithful Christmas 2005年 Something About Faith 2010年 Remixed, Unreleased and Featured 2006年 R&B Divas 2012年
A Faithful Christmas Something About Faith Remixed, Unreleased and Featured R&B Divas (Vol.1)
ソウル〜ジャズの
暖かいアレンジ
フェイスらしさが
詰まっている
リミックス・
未発表曲集 (廃盤)
出演者が親しみやすい
R&B曲を歌う
 


Tagフェイス・エヴァンスのタグ

ヒップホップ・ソウル   R&B Divas出演   R&B一筋   クリスマス・アルバム
自伝出版   バッドボーイ   P.Diddy   チャッキー・トンプソン
e1に移籍   ラッパーと結婚   スピード婚   子だくさん
ファースト・レディ   ソングライター出身   メアリー・J・ブライジ   1995年デビュー
全面プロデュース   コーワン・ポール   イヴァン・バリアス & カーヴィン・ハギンス   チャリティ活動
ハーフ (アフリカ系と白人)   イタリア系   厳しい家庭   親が歌手
ロサンゼルスに上京   グループ経験有   ベスト盤まだ無し   子供も制作参加
レーベルと対立   タイトル『●●に首ったけ』   オレンジ髪   ニュージャージー出身
CCCD


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